米プロバスケットボール協会(NBA)のニューヨーク・ニックスに在籍するジェレミー・リン選手がフェイスブックサイトの最善の使用方法を理解するためにフェイスブックに連絡を取った時、同社社員が彼に利用方法を伝授した。今春、リン選手が膝の手術を受けた後、彼はフェイスブックにお返しをした。病室のベッドからフェイスブックでファンに向けてライブチャットを行った。これまでに5万4000人が「いいね!」と言っている。
フェイスブックやツイッター、ユーチューブ、タンブラーといったソーシャルメディアサイトは、ユーザーおよび広告主に多くの新しいネタを提供するために有名人との関係構築に力を入れている。こうしたサイトの多くは人材を採用したり、有名人やTV番組の司会を務めるケリー・リパやNascarといった娯楽業界のブランドに販促アイデアやインサイダー情報、テクニカルサポートまで提供するため、リソースを投入している。
ミシガン州ブルームフィールドヒルズに住むニコール・アイゼンバーグさん(42)は、「有名人の口から直接聞くことができる」と話す。以前は、誰が誰とデートしているとか、どの有名人がどのデザイナーのドレスをどこで着たかといった最新のゴシップを知るため雑誌を読み漁ったという。今ではツイッターでグウィネス・パルトロウやキッド・ロック、イヴァンカ・トランプといった有名人をフォローしているという。
有名人は通常、ソーシャルメディアでの取り組みに対して報酬を受けない。しかし、有名人の写真や投稿で、一般の人々は彼らの世界を垣間見ることができ、ますます多くのユーザーや広告主を呼び込むことができるため、各サイトにとって有名人の参加は非常に重要だ。
フェイスブックのメディア担当部門ディレクター、ジャスティン・オソフスキ氏は、「パートナーシップの第1の目標は、ユーザーにフェイスブックで素晴らしい体験をしてもらうことだ」と話す。「当社のビジネスモデルは広告に基づくもので、人々がサイトを長い時間利用すればするほど、収益につながる」と語る。
今日、主要なソーシャルメディアの大半は、有名人や政治家、スポーツ選手――さらに、プロのスポーツリーグや映画スタジオ、テレビ局――とのパートナーシップを築くことに特化した部門を設けている。新興企業でさえ素早く、ハリウッドとの関係を密にしている。一部の場合、ソーシャルメディアの社員が有名人のIT関連アシスタントとして、自分たちのサイトへのサインオンやアプリのダウンロードの仕方を手解きする。
ツイッターのパートナーシップチームのメンバーは、映画の新作発表に目を光らせ、映画スタジオの幹部や有名人の広報担当者に連絡を取り、ツイッターを利用していかに評判を掻き立てることができるかについてアイデアを提供している。――例えば、ツイッターだけで映画の予告編を公開することなど。ツイッターはまた、代理店関係者や製作者側と合って統計を分析する。つまり、何がツイートの急増につながったか、何がうまくいかなかったかなど。有名人のツイートが大反響につながる時、ツイッターは他の有名人が確実にそれを知るように仕向ける。Nascarのドライバー、ブラッド・ケセロウスキがデイトナ500での火災で、自身の車から撮った写真をツイートしたことなどがそのいい例だ。同氏のフォロワー数は3倍に増加した。
英国のボーイズ・バンド、ワン・ディレクションはタンブラーに説得されて、タンブラー上で米国ツアーの公式ブログを公開した。タンブラーの「Storyboard」でバンドとファンベースに関するストーリーを公表するという約束で。さらに、タンブラーは、30万人のツイッター・フォロワーへのツイートや、「セブンティーン」や「ローリングストーン」といった他の出版物で取り上げることなどを含む「大々的なプロモーション」パッケージを約束した。
タンブラーの編集長ジェシカ・ベネット氏は、「彼らは間違いなくタンブラーで最も人気だ。こちらから働き掛けた」と話す。
また、新しいソーシャルメディアはオンライン上に登場することで収入を得たがっている有名人にアピールするビジネスプランを作成している。立ち上げ後1年のオープンスカイのサイトでは、女優のモリー・シムズや元スーパーモデルのベロニカ・ウェブなどが健康・美容関連商品や装飾品、キッチン用品といった商品の販売に一役買う。こうした有名人はサイトでフォロワーに商品を紹介し、売上高をオープンスカイと有名人の管理人の間で分け合う。
さらに、ラジオやテレビで司会を務めるライアン・シークレストは、ソーシャルメディアの潜在力を利用する。ライアン・シークレストと彼のチームはツイッターのディック・コストロ最高経営責任者(CEO)と交渉中だ。ライアン・シークレストがツイッターで共有するために有名人がビデオや写真を作成するのを支援し、ツイッターに一層のブランド構築の機会を与えるというものだ。
今夏、ライアン・シークレストがNBCスポーツ番組でオリンピックをカバーする際に、ライアン・シークレスト・プロダクションズのビデオ撮影者が彼の動向を追う。ライアン・シークレスト・プロダクションズの新メディア担当エグゼクティブバイスプレジデント、トニー・ノビア氏によると、その映像と写真をライアンシークレスト・ドット・コムとフェイスブック、ツイッター、ピンタレストに掲載する。ノビア氏はまた、「非常に価値の高いコンテンツを利用して、ライアンのプロジェクト全てをプロモートする」と話す。